むせる・飲み込みにくい
むせる・飲み込みにくい
食べたり飲んだりしたものは通常、口腔→咽頭→食道→胃の順に進みます。しかし、喉の部分では気管と食道が一緒にあるため、間違って気管に入ってしまうことがあります。それを排出しようとするために体が反射的にむせを引き起こします。
また、気管への入り込み方は以下が考えられます。
誤嚥
気管の入り口にある声帯より奥に入り込んでしまうことを誤嚥と言います。気管に入ってしまうため、それを出そうとむせが起こります。
咽頭侵入
声帯よりは手前ですが、気管の近くまでものが誤って入ってしまうことを咽頭侵入と言います。咽頭侵入でもむせることは多く、特に普段食事でむせない人が急にむせるときは咽頭侵入が起こっている可能性が高いです。
咽頭残留
嚥下した後は食べ物が残留しないのが普通です。しかし嚥下しても咽頭に食べ物が残ることがあります。これを咽頭残留といい、これを排出するためにむせが起こります。
健康な人でも睡眠時や食事の際に誤嚥が偶然起こることはあります。その際にむせることによって誤嚥物は吐き出され、問題なく過ごすことができます。
しかし高齢者の場合は、むせて吐き出す力が弱くなります。そのため、免疫や抵抗力が弱まっている時に誤嚥によって食べ物や唾液と一緒に口腔内の細菌なども気管から肺に入ることによって、細菌が入り込み、誤嚥性肺炎になるリスクが高くなります。
飲み込みにくい場合には「嚥下食」を用意しましょう。嚥下食は柔らかく、まとまりやすく、食材の大きさが均一で、ベタつかず、適度なとろみがあることが特徴です。水分もゼリー状やとろみをつけて適切な量を摂取しましょう。
可能であれば椅子に座らせ、しっかりと足を床につけて食べましょう。むせやすい人はやや前屈みに、逆流しやすい人は上体を起こして食事しましょう。
さらに、食事後は逆流を防ぐために、2−3時間は座った姿勢で過ごしましょう。
口腔内の細菌を繁殖させないように口腔ケアをしっかりと行いましょう。水分でむせやすい方は、歯磨きの後は水分での誤嚥をなくすために、余分な水はスポンジやガーゼ等で吸い取りましょう。
食べさせるペースはゆっくりと
嚥下に時間がかかるので、処理が追いつかないことがないようにゆっくりと次に進みましょう。
一口量を少なくする
時間内に食べさせようとして一回の量が多くなると誤嚥や窒息の可能性が高くなります。状態を確認しながらスプーンの量やペースを確認しながら食べるようにしましょう。
むせても焦らない
むせたときは背中を軽く叩きながらゆっくり呼吸をしてもらいましょう。深呼吸や上を向いて呼吸するとかえって気管に入り込むことがあるので注意してください。飛沫を気にして口を閉じて呼吸している場合には、できるだけ手を離して口元を解放してあげてください。解放が少ないと排出したものを再度吸い込んでしまう可能性があります。
嚥下障害から起こりやすい合併症の誤嚥性肺炎のリスクを下げるためには、口腔内のケアを徹底的に行いましょう。脱水や持病を抱えている人は自浄作用が低下し、口内の細菌も繁殖しやすくなります。歯ブラシや、口腔内のマッサージ等で唾液の分泌を促し、口腔内の衛生環境を整えましょう。
「オーラルフレイル」は、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)の一つです。これら概念は東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授、飯島勝矢教授らによる大規模健康調査(縦断追跡コホート研究)等の厚生労働科学研究によって示され、この研究をきっかけにさまざまな検討が進められています。この「オーラルフレイル」とは、健康と機能障害との中間にあり、可逆的であることが大きな特徴の一つです。つまり早めに気づき適切な対応をすることでより健康に近づきます。この「オーラルフレイル」の始まりは、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増える、口の乾燥等ほんの些細な症状であり、見逃しやすく、気が付きにくい特徴があるため注意が必要です。(出典:日本歯科医師会)
当院では、オーラルフレイルや口腔機能低下症の早期発見・早期介入により健康長寿のサポートを行い、地域に貢献していきたいと考えています。
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